この記事の結論
「もう少し安く」と言われたときに、金額を下げてはいけません。減らすのは範囲です。
下げられるのは、見積もりが一式いくらになっているときです。中身が数えられる形なら、「では本数を減らしましょう」という話に変えられます。
見積もりを出したあとに、こう言われることがあります。
「いいと思うんですけど、もう少し安くなりませんか」
ここで慌てて下げてしまうと、その金額がその相手との基準になります。次も、その次も、そこからの話になります。
下げずに済ませる方法があります。やることは1つで、金額ではなく中身を動かすことです。
なぜ値下げを求められるのか
相手が意地悪をしているわけではありません。比べる材料が金額しかないからです。
「運用代行一式 月15万円」と書かれていたら、相手にできるのは「15万円は高いか安いか」を考えることだけです。中身が見えないので、金額で判断するしかありません。
反対に、次のように書いてあればどうでしょうか。
- 撮影・編集:130,000円(前払い)
- リール制作:9本 × 10,000円=90,000円
- 交通費・宿泊費:実費を別途ご負担
相手は「9本を6本にしたらどうなりますか」と聞けます。金額の話が、中身の話に変わります。これが狙いです。
下げずに済ませる4つの返し方
① 本数を減らす
いちばん素直な方法です。9本を6本にすれば、そのぶん金額は下がります。単価は1本1万円のまま変わりません。基準が崩れないので、次の契約に響きません。
② 範囲を外す
撮影に行くのをやめて、素材を先方に用意してもらう。報告をやめて、数字は自分で見てもらう。外したぶんだけ下がります。「この部分をそちらでやっていただければ、この金額になります」という出し方です。
③ 期間を短くする
3ヶ月を1ヶ月にすれば、1回の支払いは小さくなります。合わなければそこで終われるので、相手にとっても始めやすくなります。まず1ヶ月やってみて、続けるかを決めましょうという形です。
④ 実費を切り分ける
交通費や広告費が報酬に混ざっていると、総額だけが大きく見えます。実費を分けて書くだけで、報酬の額は変わらないのに見え方が変わります。
下げてよい場合と、下げてはいけない場合
一律に断る必要はありません。判断の線はここです。
| どうするか | |
|---|---|
| やることも減らして、金額も下げる | よい。単価は守られている |
| やることは同じで、金額だけ下げる | やらない。単価が崩れる |
| 最初だけ安く、次から通常に戻す | ⚠ 戻せないことが多い。やるなら範囲も最初だけ小さくする |
| 長く続ける前提で下げる | ⚠ 期間を契約に書くならよい。口約束だけなら下げない |
それでも下げるなら、必ず何かを外す
どうしても金額を動かすことになったときは、必ず同時に何かを外してください。
「本数はそのままで、2万円だけ下げます」とやってしまうと、相手の中でその仕事の値段が下がります。次に同じ本数を出したとき、前回より高い理由を説明できなくなります。
外すものは小さくてかまいません。報告を月1回から無しにする、修正の回数を2回までにする。金額と中身が一緒に動いたという事実が残れば十分です。
言われる前にやっておくこと
そもそも値下げを言われにくくする手があります。見積もりを出す時点で、3つの選択肢を並べることです。
- 投稿だけ(素材は先方)
- 企画から投稿まで
- 撮影から全部
並べて出すと、相手は「どれにするか」を考えます。1つだけ出すと「受けるか、値切るか」になります。同じ内容でも、出し方で相手の考えることが変わります。
そのまま使える、見積もりの形
値下げを言われにくい見積もりは、形が決まっています。次の順で書いてください。
- ①目的(何のためにやるか。1行)
- ②やること(項目ごとに、数を入れる。「リール制作 9本」)
- ③やらないこと(「コメント・DMの返信は含みません」)
- ④金額(②の項目ごとに単価と小計)
- ⑤実費(交通費・宿泊費・広告費は別途)
- ⑥期間(いつからいつまで。終わりを書く)
- ⑦支払い(前払いの有無・締めと支払いの日)
効くのは③の「やらないこと」です。書いておくと、始まってから仕事が増えません。そして、値下げを言われたときに「ではここを外しましょう」と動かせる場所が、②と③に並んでいる状態になります。
⑥と⑦も忘れないでください。終わりの日が書かれていないと、次の金額を出す場面が来ません。
よくある、もったいない進め方
その場で即答する
言われた瞬間に「できます」と答えてしまう人が多いです。一度持ち帰ってください。「範囲を調整した形でお出ししますので、少しお時間をください」で十分です。
理由を聞かない
予算が決まっているのか、他と比べているのか、価値が伝わっていないのか。理由によって返し方が変わります。予算が決まっているなら範囲を削る話になりますが、価値が伝わっていないなら金額を動かしても決まりません。
自分から値下げを持ちかける
返事が来ないと不安になって、「お安くできます」と送ってしまうことがあります。これをやると、最初の金額に根拠が無かったことになります。待つか、範囲を変えた別案を出してください。
断られることを失敗だと思う
金額が合わない相手は、始まってからも合いません。断られた案件より、安く受けて続かなかった案件のほうが痛手になります。
よくある質問
Q: 実績がないうちは、値下げに応じるべきですか?
A: 金額ではなく範囲を小さくしてください。投稿だけの形なら、金額が小さくても単価は崩れません。無料で受けると、あとから金額の話を出しにくくなります。
Q: 相見積もりだと言われたら、どうすればいいですか?
A: 金額で並べられている時点で、中身が見えていない可能性があります。本数・範囲・実費を分けた形で出し直すと、比べ方そのものが変わります。
Q: 長く続ける前提なら、安くしてもいいですか?
A: 期間を契約に書くなら筋が通ります。口頭で「続けるつもり」と言われただけで下げると、続かなかったときに何も残りません。
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